アンティークシルバーのカトラリーといえば、優雅な装飾の施されたスプーンやフォーク・ナイフといったディナーセットを思い浮かべる方も多いと思います。
上記のものはサーバーです。素敵ですねぇ。
しかしディナーセットを含めこのようなカトラリーは箸を使う日本の食卓では使用頻度も少なく、どちらかと言えば趣味のコレクションとして収集している方のほうが多いと思います。
一方で、ティーナイフやバターナイフ、デザートナイフはアンティークらしい面影を残しつつ、手に馴染むちょうど良いサイズなので日常生活でも使用頻度が高いアイテム。アンティークといえどもバラ売りの物を探せば比較的値段もお手頃です。
本日はアンティークシルバーのカトラリー、ディナーナイフよりも小ぶりで様々な日常シーンで使いまわせる小さなナイフについてご紹介します。
初めてのアンティークに選びたい、シルバーの小さなナイフたち
バターナイフならバターを、デザートナイフならフルーツなどのデザートを、と本来であれば役割が決まっているナイフですが、現代の日本の生活のなかでは堅苦しく考えずに様々なシーンで便利に使いまわして楽しめるのが小さなナイフの良いところだと思います。
今回は私が実際に使用しているティーナイフを例にしながら話を進めてまいります。
ティーナイフとは何でしょうか。
ティーナイフというのは、ティータイムに使うナイフのこと。
ナイフといっても手が切れるような鋭いものではなく、ティータイムに出されるスコーンを割ったり、ジャムやクリームを塗るのに使用するものです。
私物で恐縮ですが、こちらがティーナイフです。
シンプルな形で、ハンドル部分も手の形に添ってカーブしているので持ちやすく使いやすいので気に入っています。
形も素材も様々ですが、アンティークのティーナイフではシルバー製のものが多く流通していると思います。
イギリスではティータイムにはシルバー製品を揃えて使うのがステイタスだった時代もあり、ティータイムで使われたアンティークの道具類には代々に渡って集めたシルバー製品が多いのですね。
特に高価な銀無垢に代えて銀メッキが主流になった近代以降、庶民もこぞってシルバー製品を買いそろえていますので、流通するアンティークシルバーは多いと思います。
残念ながら私は銀のポットでゆったりティータイムを過ごすほどリッチで優雅な生活はしていませんが、ティーナイフはパンを食べる際にバターナイフ&ジャムナイフとして便利に使っています。
実際に使ってみると想像以上に便利で、食卓のシーンも美しくなり、手放せなくなるんですよ。
初めてのアンティークシルバーに、ティーナイフなどの小さなナイフをお薦めする理由
アンティークシルバーのカトラリーのなかでも小さなサイズのナイフは、
- 現代の日本の生活スタイルの中でも程よいサイズで活用頻度も高い
- ディナーセットのように「セット」で揃える必要も無い
- 価格帯も幅広いので予算の範囲で選べる
- アンティークの良さを実際に使いながら楽しめる
といった理由で「初めてのアンティークシルバー」として試し買いするのにちょうど良いアイテムなんです。
朝食でジャムやバターを塗る際に使ったり、デザートナイフなら形状によってはチーズを切って使うのにもピッタリです。
デザイン色々
アンティークのカトラリー類は流通の数も多く、箱入りセットからバラ売りまで数多く取引されています
もちろんティーナイフやバターナイフもディナーで使うカトラリーと同じように、シンプルでプレーンなデザインから、アンティークらしい優雅なデザインまで様々なものが探せて、1本から購入できます。
小さくてもエレガントでアンティークの雰囲気を思い存分楽しめますし、価格も手ごろ。アンティークシルバーに詳しくない初心者さんでも気軽に手を出しやすいんですね。
実用できるものを選ぶことで、実際に使って質の良いアンティークの素晴らしさを楽しむこともできますね。
私のティーナイフも、ブレードにささやかな装飾が施されていますよ。
アンティークらしいエレガントなものに憧れるならブレード全面に美しい装飾が施された物も多いので探してみるのも楽しいものです。逆に、普段使いしたいなら、より使いやすく手に馴染むシンプルなものを選んでもいいでしょう。
持ち手のデザイン様々
私のティーナイフはブレード部分がシルバープレート、持ち手は象牙を模した樹脂製のものだそうです。私には象牙にしか見えませんが「樹脂です」と言われました。
アンティークのティーナイフは持ち手(ハンドル)については水牛の角や象牙またはマザー・オブ・パール・この他に持ち手部分までシルバー製のものもあり、実に素材は様々で、どれを選んでもアンティークならではの素材を楽しめると思います。
また、ブレード部分についてはシルバーだと思い込んでいるとステンレス製だったりすることもあるので、購入を検討する際は材質をよく確認するようにしましょう。
(ヴィンテージ品など、近代以降はステンレスが多くなります)
小さくて手入れも楽々♪
初心者さんにとって、銀製品の手入れは苦労が絶えないようです。
銀製品は、ただ置いておくだけでくすんだり黒ずんだりしますし、多湿の日本ではうっかりすると錆が出てきてしまうこともあります。
高価なアンティークシルバーのティーポットなどを購入後、うっかり黒く変色させてしまうのも残念ですから、こういった小物からチャレンジするのがお薦めです。
そして頻繁に使用することでシルバー製品の扱い方も学べます。
アンティークシルバーのティーポットについてはこちらでご紹介しています。併せてご覧ください。
アンティークのカトラリーの扱いと選ぶ際の注意
古道具であると理解する
アンティークショップなどで実際に古道具(ブロカントと呼びます)を見たことのない方が、ネットでアンティークを購入して「キズだらけでガッカリした」といったこともよく聞く話です。
しかしながらアンティーク・シルバー製品といってもカラトリー類などの生活用品はいわゆる古道具です。
何十年も前に家庭で実際に使われていたものが人手に渡り販売されているので、必ず細かいキズ・スレなど使用痕が見られます。
初心者さんにとっては「キズが多すぎる→キズモノ」と感じられてしまうこともあるかもしれませんが、この使用痕はアンティークの宿命でもあります。
どのようなアンティークを購入する際にも言えることですが、生活の中で使用されてきたものは古道具であるということを理解しましょう。
ホールマークがあるものを選ぶ
私が使用しているティーナイフにもホールマークがついています。
ホールマーク(刻印)はいつの時代にどの工房で作られた物なのかを証明するものです。
筋の良いきちんとしたアンティークシルバー製品には必ずホールマークがついています。
品質の保証でもありますのでアンティークのシルバー製品であればホールマーク(刻印)があることが大前提です。
自宅で楽しむだけならホールマークは消えかけていて読めない状態でもかまいませんが、ホールマークが付いていると確認できる物を購入しましょう。
お湯に長時間浸け込まない
アンティークのシルバーは、ハンドルの材質が様々です。
こういったものはハンドルにブレードが「にかわ」というもので接着されているため、熱湯消毒、またはお湯で浸け置き洗いをしてはいけません。「にかわ」がとれて、ハンドルからブレードが外れてしまいます。
逆に言うと、お湯で簡単に外れるから、破損した場合もブレードだけ・もしくはハンドルだけを交換したり修理して長く大切に使用されてきて現代まで残っているのですね。
なお天然素材のハンドルの場合、洗剤で洗う・お湯に浸け置くことでハンドルの変形・変色もまねきますので注意してください。
頻繁に使う
コレクションに慣れている方にとっては論外でしょうけれど、初心者にとってシルバーは扱いづらいアンティークの一つです。
シルバー製品は、ただ置いておくだけではくすんだり黒く変色してしまいますし、最悪の場合、錆びてしまう心配もありますね。
こういった変質を防ぐために「アルミホイルを直にシルバーに巻いたうえでナイロンパックに入れてしまっておくと良い」とも言われますが、
アルミホイルがこすれるとシルバーは傷つきます。
そのため初心者にありがちなこととして、「アルミホイルでくるんだり、アルミホイルから取り出したりするたびに傷つけてしまう」といった心配がでてきます。
よく言われることですが、シルバーをくすませない一番良い方法は毎日使うことです。こういったことからもシルバー製品に慣れていない方には頻繁に使えて管理できる小さなシルバーのカトラリーは初めてのシルバー製品としてお薦めなんです。
錆びてしまった場合はどうするの?
錆びや変色、または銀メッキが薄くなった・剥げてきた場合は日本で銀メッキをほどこしてくれる工場がありますから専門業者にお願いしましょう。
金属加工で有名な新潟の燕市では専門業者が多いので、そちらで探すのもお薦めです。
なお、こういったアンティークシルバー類は、ゴージャスで凝った装飾があるから高価・シンプルだから安価というわけではなく、持ち手が貴重な材質だったり、または何の装飾も無いものでも状態の良い有名ブランドやシェフフィールド(SHEFFIELD)製のカトラリーは値が張ることが多いです。
いろいろなカトラリーを選びながらそういった歴史や文化を勉強してみるのも楽しいですね。
以上、四門がアンティークシルバーについてご紹介しました。