「100年経つとアンティーク説」は本当なの? 1930年代の不思議

アンティークと言えば『だいたい製造されてから100年経過したもの』という約束事みたいな話があります。

アンティークとヴィンテージの違いって何?

アンティークは100年以上経過したモノ
ヴィンテージは1960年代以降に作られたモノ

一般的にはこの考え方が最もポピュラーだと思います。私もアンティークの仕事を始めるまで、このように思っていました。

いろんな見方・考え方があるのでコレも間違いではないんでしょう。「イギリスでは100年経つとアンティークと呼ばれる」と言っている人もいますしね。
しかし、実際に働いてみると日本の事情は少し違うようですよ。

アンティーク「100年説」は本当なの?

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アンティーク関係の仕事をしている人の中で、実際にお会いした方を見ていると「100年経ったらアンティーク」という、型にはまった考え方をする人はあまりいないように思う。むしろ、長く仕事をしている方ほど1960年代の家具もアンティークと呼んだりするし。

正確に言えば、100年過ぎたアンティーク品を「ジェニン・アンティーク(本当のアンティーク)」と呼ぶこともありますが、では100年経っていないからアンティークじゃないのかと言われれば、いや、100年経っていなくてもアンティークだと言われる。

私がしばらく働いてみた印象としては、どうもアンティークとヴィンテージに関しては境目が曖昧で、製作年代だけで区別していないみたい。

製作年代+イメージでアンティークと呼んだりヴィンテージと呼んだり。

たとえば
レトロな印象のもの、ミッドセンチュリー、インダストリアルデザインのもの。つまり近代的なアレンジが入っている自由なデザイン、もしくはシンプルかつモダンデザインのものは比較的ヴィンテージとして扱われているように見えます。

これに対して、
伝統的なクラシックデザイン、古典的な凝った装飾など、華やか&エレガントなものは年代が浅くてもヴィンテージというよりはアンティーク的な扱いを受けているように思う。
しかしクラシックデザインでもアメリカ製のものはヴィンテージと呼んだりするから不思議。

まあ、そんなこと言いながら、10年前のヴィンテージ品でも今ではアンティークと呼んだりするのですから、ヴィンテージだアンティークだと揉めている間に、あっという間に全部アンティークになっちゃう。

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実際に1960年代くらいまでの中古商品についても、古典的なスタイルを踏襲して作られたスタンダードスタイルならば、販売する際に「アンティーク」と紹介するお店も日本では多いはずです。

それからちょっと経てば私が生まれた年代ですから、もはや私もヴィンテージですね!

(T_T)ううっ

(/・ω・)/どっこいしょ

ヴィンテージもアンティークも、ただ古いからそう呼ばれるわけではなくて、きちんと作られているという素性があって、将来に残すべき理由があって、愛される・大切にされる理由があるから今に残っているワケです。

そんなことを考えていると「100年経ってもいないのにアンティークって呼ぶなんておかしいわよ」と目くじらたてること自体が、なんだかおかしいような気がする今日この頃だったります。

1930年代の不思議

アンティーク屋に仕事をもらい始めたばかりの頃、1920年代から1930年代のアンティーク商品を扱うことが多かった。

それが2017年も後半になると、なぜか1930年代のアンティーク商品ばかりを扱っています。

確かにその時代は、すでに大量生産が始まっているので家具や食器の類の生産量も多かったことでしょう。生産量が多ければ大量に残っていますから、「アンティーク」といえども比較的手に入れやすい価格で流通します。

じゃぁ、1910年代は?1920年代は? 今は何も残ってないの?って話になりますよね。つい半年前まで1920年代なんてたくさん扱っていたのに、今は1930年代しか扱ってないって不思議。

そこにはこんな事情もあるようですよ。

輸出の際の書類に秘密あり?

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アンティーク品、とくに家具を輸出する際には、現地のディーラー(アンティーク取扱業者)はインボイスという書類を作成するそうです。

※インボイスとは、物品を送るときに税関への申告、検査などで必要となる書類です。 また、相手国での輸入通関をする際に必要となりますので正確に記載する必要があります。

そこには商品名や材質、価格、さらには製造年代も記入しなければいけないんだとか。
ここにディーラーは「アンティーク家具」という記載をしないで、「中古家具類」とかなんとか記載するらしい。つまり「まだアンティークではない家具」ですよ、と。

これには理由があって、
実はイギリスなどの国では古物(アンティーク)に関してのルールがあり、100年以上経った古物は持ち出しの際に規制がかかり、必要書類がとても多くなるらしい。
※どうも100年以上の古物をアンティークと呼ぶ、という見解が日本でも一般的になったのは英国のルールが起因しているとかしてないとか←どっち)
つまり、100年経った古いものを海外に輸出しようとすると手続きが複雑になり面倒が多いという訳なんですね。だから正確な年代が推定できない家具については100年未満の「中古家具類」と記載するワケです。
※古い家具は製造年代がたどれないので「中古」とされることが多いようです。

しかしアンティークディーラーは、ただの中古家具を輸出している中古業者ではないので、ここで書類にひと工夫するワケです。

あくまでも自分はアンティークディーラーで、扱っているものもアンティークに相当する価値があると明記したいわけですから、記入される製造年代はギリギリの100年未満、1930年代になる、と。

これはアンティーク相当の家具ですよ、と書いているワケです。

ちなみに、シルバー製品については必ずホールマークという刻印があり、作られた工房、年代が確実にわかるよう、中世以降にルール化されていましたが、家具類に関してはそういった物がありませんから、メーカー刻印等の無い家具類の年代は「推定年代」とされるようです。

書類に記載された年代で販売される「アンティーク」たち

こうして海を渡ってやってきたアンティークはお店に並ぶことになります。
実際にお店に並ぶ際にはその書類に書かれた年代が正式な素性となるため、1930年代の「アンティーク」として販売されるのだそうな。

なので、1920年代、1930年代のヨーロッパからのアンティーク、実はもっと古いモノかも?という話になりますよね。

本当かどうかは知らないけれど、こんな話を聞くと「100年経ってものはアンティークではない」とは、もはや言えないワケですね。

以上、雇われライターの聞きかじり情報でした。