アンティーク ヴィクトリアンスタイルの物語

アンティーク家具といえば、ヴィクトリアン。
エレガントなアンティーク品を求める方の多くが、デコラティブで優雅な(気がする)ヴィクトリアンスタイルを好まれるそうですが、あなたはいかがでしょう。

私もアンティーク屋でライターを始めた当初、西洋アンティークと言われて思い浮かべるのは優雅な装飾がたっぷり入ったエレガントな家具たちでした。

そのエレガントなアンティークのイメージにピッタリハマるのがヴィクトリアンスタイルの家具たちだと、よく言われます。
どんな人にも「これぞアンティーク。さすがヴィクトリアン」と思わせるほどの装飾が魅力のスタイルです。

皆さんこんにちわ、四門です。
本日はアンティークの中でも人気の高い、ヴィクトリアンスタイルについて解説したいと思います。

アンティーク ヴィクトリアンスタイルの不思議

ヴィクトリアン様式の家具というのはたくさんあります。
貴族が使っていた家具ではありません。市民が使っていました。

だからたくさんあるのです。

アンティーク家具としてはかなりポピュラーなジャンルなんじゃないでしょうか。だから数多くのお店で扱うことができ、日本の末端の主婦にまで行き渡るワケです。

「やっぱり高級なアンティークは違うわねー」と、主婦が背伸びすれば買える家具です。満足しているならそれでいいじゃないですか。そもそも特権階級が使っていた家具なんて、一般庶民が買える流通には存在しませんし。

(´◉◞౪◟◉)世の中ってそういうもんでしょ?

華麗?なヴィクトリアンスタイル

ヴィクトリアンスタイルとは

アンティークの分野では、実際にヴィクトリア女王の時代に作られたという狭い意味ではなくて、ヴィクトリア朝に流行したデザインを取り入れたスタイルのことを総称して「ヴィクトリアン」と呼ぶことが多い。

ヴィクトリア朝のデザインを、後の時代に成功して成り上がった富裕層が「富の象徴」として家具・インテリアに取り入れた・作らせた、ということです。

時代は産業革命。今まで特権を持たなかった庶民が、運と才覚で成り上がることが可能になった時代です。
多くの人がいまだ劣悪な環境で労働をこなす中、成功して成り上がった小市民たちは富裕層を形成します。

富める者あれば廃れる者あり。
当時の富裕層というのは没落貴族よりもカネを持っていましたから、貧乏な貴族の子を婿・嫁にもらい、コネとカネの両方を手に入れて特権階級の仲間入りを狙う者も多かったはず。

よって、野心家の富裕層は自分の家に人を招くことも多くなっていったでしょう。
そこで富裕層は特権階級にも負けない財力と力を誇示するために上流階級のエレガンスなインテリアをこぞって真似し始めました。

庶民の愛したヴィクトリアンスタイル

富裕層が上流階級のインテリアを真似すれば、それは当然のようにお金に余裕のできた一般市民にも広がります。

ただ、問題もありました。
それまでの上流・特権階級のインテリアというのは、お屋敷(建築物、この場合は家)と一緒に家具まで設計されていたのです。
流行したスタイルの家、家と同じ様式の家具(カラトリーに到るまで)を選りすぐりの建築家がデザインして家に見合う家具を作らせて貴族に収めていた、と。

すると、そこまで広い部屋に住んでいるワケでもない市民、イギリスならではの小さな家に住んでいる市民たちにとっては、上流階級の使っている家具が大きすぎる、価格が高すぎるワケです。

結局どのようになったかというと、貴族たちの使っていた様々な高級家具の特徴的な装飾部分を自分たちの家で使う小さな家具につけるよう、家具職人にオーダーするようになりました。

やがて、複数の家具の豪華な装飾部分を真似して一つの家具にくっつける、装飾部分だけをアチラこちらから切りとって貼りつけたような、装飾だらけの華美な家具が出来上がります。

家具に対して装飾過剰の家具というワケです。
庶民にもわかり易い「豪華さ」が強調されました。
そしてこの「豪華さ」が上流階級を真似したい市民たちの心を簡単にわし掴みにし、大流行したワケです。

高まる需要に大量生産で供給

家具はいまだにオーダーメイドが主流ではありましたが、産業革命がおこった時代ですから、製造の効率化が始まっていました。
こうしたヴィクトリアンスタイルの特徴を継承した家具が大量生産できるように、生産の仕組みが整っていたワケですね。

よって需要に対して供給が始まり、市民たちはこぞって買い求めた、ということになります。

こうしてビクトリアンスタイルの家具が大量生産されることになりました。まあ、こういった事情のある家具だからこそ今でもたくさん残っていて、アンティーク屋が商売できるワケですね。

そして我々も背伸びすれば、当時の市民たちが愛した「ヴィクトリアンスタイル」のアンティークを買うことができる、と。

こういった家具の「みてくれ」についても現代の我々の目からすると、まさに「アンティークらしい特徴盛りだくさん・華麗で豪華な装飾」に見えるワケですね。
「ヴィクトリアンスタイル」っぽい、となる。
※実際に特徴を継承しているので「ヴィクトリアンスタイル」と呼んで間違いはないと思います。

そんな背景があって、玄人の中にはヴィクトリアン好きな人を、「アンティークを知らない素人」みたいな、ちょっと小ばかにしたような目で見る人も確かにいます。
そういった歴史を持つ家具を「悪趣味なレプリカ」と呼ぶ人もいますし。

でも、本当に悪趣味だったらアンティークとしてここまで流通しないはずですけどね。
美しい様式を継承してきたからこそ、現代でもクラシック家具は作られ続けているのです。

飾り立てない、余韻のある美しい家具たち。それらもヴィクトリアンスタイルです。

まぁ、私の目から見ると「本当にキレイだなぁ、すごいなぁ~」って思いますけどね。今では絶対にオーダーできないような華麗な装飾は、やはりヴィクトリアンスタイルだからこそなんですよ。

綺麗で素敵と思える家具を買って、毎日幸せな気分で過ごせるなら「ヴィクトリアンスタイル」はやっぱりアンティークの王道なんだと思いますよ。

以上、四文がヴィクトリアンスタイルの物語をご紹介しました。