ウィンザーチェアなくして椅子は語れない。英国アンティークチェア

ライターの仕事でアンティーク商品を扱うようになってから、幾度となくウィンザーチェアをお客さんに紹介してきました。
ウィンザーチェアーは英国の庶民の暮らしと密接に関係した民藝椅子であり、カントリーチェアです。長い歴史のなかで様々な椅子のデザインに影響を及ぼし、海外のデザインチェアのルーツともなったウィンザーチェア。

アンティークなら椅子というカテゴリーは避けて通れません。
作られた年代・形やインテリアの知識、そういった表面的なモノだけでなく、椅子を触りながら生活し、英国の椅子の歴史と英国人の生活スタイルを知ってこそ、モノを見る目と感性に奥行きが生まれ、よりアンティークチェアを楽しめると思うのです。

その一助となるのが『ウィンザーチェア大全』

アンティークチェアについて書く仕事をいただいて、参考資料でウィンザーチェアの画像を初めて見たとき「松本家具の椅子とそっくりだなぁ」と思いました。
違います。僕の勉強不足でした。実は松本家具の椅子はウィンザーチェアのスタイルを継承しています。仕事の参考にするために手に入れた、この「ウィンザーチェア大全」を読んで初めて知りました。

ウィンザーチェアなくして椅子は語れない

この本はウィンザーチェアを取り巻く歴史的な背景や庶民の暮らし、一つひとつのデザイン、木の性質、組み立てに到るまで細かく網羅された本です。職人としてもバイヤーや売り手としても、仕事としてウィンザーチェアに関わるならこの本を読んでいたほうがいい。
素人さんが読むには専門的で分厚すぎる本ではありますが、初心者にもわかり易いように解説してあるので、ウィンザーチェアがお好きな方にもお薦めします。

ちょっと高価な参考書になります。図書館にも置いてあると思いますよ。

アンティークチェアを見る際には

アンティークのウィンザーチェアは、使われている材質や作られた年代・椅子のデザイン・現在の状態によって値段が変わりますけど、購入しようと思えば結構な値段です。
ダイニングで家族分揃えて、毎日何気なく使うにはちょっと躊躇するような値段です。しかもアンティークは状態が完璧なモノばかりではありません。

きちんとしたアンティークショップはその店専用の職人さんがいて、家具をメンテナンスしています。特にアンティークの椅子は脚のガタつきがみられることが多いので、ネットで買う際には注意が必要です。
アンティークチェアを買う際は、きちんと職人が脚を組み直しガタつかないようメンテナンスした商品を販売している、アンティークショップで買い求めましょう。

現代も作られているウィンザーチェア

ウィンザーチェアにはたくさんの種類があります。
上記画像の椅子はコムバッグ(ファンバック)・サイドチェア(カウホーン型貫)というタイプの現行品になります。

バックで斜めに差し込まれたスティックに特徴的なバルスターレッグとカウホーン。生まれは素朴な民藝椅子でありながら、美しいシルエットを持った椅子です。
もちろん座面の形もきちんとオシリの形に沿うように彫られていて、クラシックなスタイルを継承しています。

もともとこの椅子は庶民の椅子ですから、英国の公共施設やカフェ、家庭の中で使われている英国のソウルチェア。最近は椅子の良さが再確認されて人気も再燃し、同じスタイルの椅子が世界各地で作られているので、アンティークでないと手に入らないというものではありません。気に入った現行品を探すのがお薦めです。アンティークよりお安く、状態の良いものが買えるはずです。

僕は濃い色が好きです。夫婦が新生活で椅子を揃えるなら、奥様はパートナーの好みにも配慮してくれると嬉しい。

せっかくウィンザーチェアを購入するなら、アレンジしすぎて原型を失った椅子より、ウィンザーチェアの特徴をしっかり残したものを選んでほしいと思う。艶が出るまで長く使えば、とても素晴らしい雰囲気を持った椅子になるから。

そして、椅子作家・家具作家もまた、素敵なウィンザーチェアを現在も作り続けています。日本の家具職人の熟練した技術はアンティーク品をしのぐ・もしくはそれ以上ではないかと僕は考えています。

愛着を持って使うなら、良い椅子を選んでください。
長い時間を一緒に過ごし、自分だけの記憶を刻みたいならクラシックスタイルの現行品を。手っ取り早く時間を買って、本物の風合いを今すぐ楽しむならアンティークを。

ぜひアンティーク品にとらわれず、ご自分のスタイルに合わせて自由に揃えてください。

有名なメーカーや伝統のあるメーカーの輸入品ともなると非常に高価です。アンティークと同じお値段、いやそれ以上のお値段になるかもしれません。
しかしながら伝統に忠実に再現されたウィンザーチェアの魅力は抗いがたい魅力があります。

今も新しいウィンザーチェアを作り続けるアーコール社製のウィンザーチェアはあまりにも有名ですね。

この椅子はボウバックチェア(H型貫)です。
若い夫婦に好まれる、明るくてナチュラルな家に良く似合いそうです。
家族が増えるたびに一脚ずつ揃えて、たくさんの思い出を刻みながら飴色に育てたい椅子です。

伝統的な椅子の他に、ウィンザーチェアの伝統を踏襲しつつも、そこから新しいデザインに挑戦したアーコール社。若い人にも大変人気があります。

ほっそりとしたスピンドル(背棒)のシルエットが素敵なベンチチェア。家族が増えたらこんなベンチもいいなぁ、と憧れてしまう。きっと座り心地も優しいに違いない。

まあ、ここまでいくと庶民的な椅子とは言えないお値段になってしまいますが、椅子は毎日の生活に密接した道具です。「木の椅子を家に置きたい」と思ったら、ウィンザーチェアをぜひ、何気ない日常の椅子として置いていただきたいと思っています。

以上、四門がご紹介しました。